ヴァイヴレータ
暮れにNHKの72時間が再放送されていて、その一本が九州の物流拠点である鳥栖の配送センターだった。番組は、施設を3日間定点観測するものだったが、そこを出入りする一台のトラックとその車窓を同じように72時間写したら(濡れ場はさておき)こうなるのだろう。ロードムービーというのだろうが、好きな映画だ。
只、運送業は時間との勝負であろうし(特に最近のコンビニやネット通販の配送など、分・秒刻みだろう。モノの移動に価値=有償という意識がこの国には必要だと思う。)、映画のイメージような気楽な稼業ではない。反社会的勢力と繋がっていたりとか、劇中の設定で大森南朋が適当に喋っているだけだろう。
日野レンジャーや三菱ふそうなどと聞くと、いまは聴くことのなくなった午前3時からのラジオ歌謡を思い出す。三菱ふそうを知らないルポライターというのは意外だと感じたが、無線のことは僕も全く素人で、なるほどと思うことが多かった。このあたり、彼の喋っていることははったりではないと思う。
以上、おそらく本題と離れたことばかり述べてきてしまった。でも、男と女、について語るべきものを、僕は持っていない。そのことにあらためて気づく。食堂の長く重たい時間と、その後、寺島しのぶがトラックを運転する場面の開放感。
トンネルを抜け雪の町を走るトラックを俯瞰しながら、はっぴいえんどのしんしんしんがかかったときは、咄嗟に"あっ格好いい"と思った。ガントリークレーンの並ぶ埠頭の寒々しさ。明け方の臨港道路とトラックの後姿の美しさ。景色が胸に染みる映画だった。
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