マイマイ新子と千年の魔法
平安時代(というと千年前。先生が清少納言を開くシーンも出てくる。)に興味がある女の子たちは、たとえばこんな感じで空想をして楽しむのだろう。それは今の子どもたちも変わらない。そしてまた、大人の世界には男女の、或いはお金の絡む苦い現実があって、それが子どもの世界にも影を落としてゆくことも。昭和40年代生まれの私は、ノスタルジー感は特になくこの作品を楽しんだ。自分にも子ども時代、勢い余って大人の世界に踏み込んでしまったことが、一度や二度あったのではなかったか。大人の理屈への、今からして見れば非常に子どもじみた、でもその当時は命がけの反抗もあったろう。そういったことがたいそう丁寧に作られている。キャラクターも派手ではない(というより地味なのだけれど)が、魅力的に描かれている。2009年の公開当時興行的には全く振るわなかったそうだが、DVDに納められているTV用のスポットをみればその原因が判る気がする。無理にノスタルジーをかきたてようとし、親子で観に行きましょうと強調しているが、時代設定は私の親が子どもだったころの話で、いまの親子ではないし、そもそもノスタルジーを楽しむ映画でない。子どもが主人公の、普通の大人の映画として見てもらえば良かったのではないか。コトリンゴの歌うエンディングは、作品(特に消え入りそうなきい子の声と)とマッチ。監督が惚れ込んで”片隅”にも起用したのもわかる。CD、買おうかな。
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