リップヴァンウィンクルの花嫁
リップヴァンウィンクルとは物語中盤に出てくる女のSNSのハンドルネームである。黒木華演じる主人公のそれはカンパネルラで、その名まえに変える前がクラムボンである。カンパネルラは宮沢賢治の銀河鉄道の夜の主人公(ジョバンニ)の友人で、確か死んでしまうのではなかったか。クラムボンも宮沢賢治の作品の登場人物だったと思う。ストーリーは、黒木華が住み込みのメイドの職を得て以降どこか寓話的な雰囲気も出てくるのだけれど、それは銀河鉄道でなく、まるで注文の多い料理店。綾野剛扮する人材派遣業の男の言うがまま乗せられいくうちに……。一体いつから仕組まれていたのだろう。そして最後に彼の予想を裏切る結果に導いたのは何だったのだろう…などといったことを一緒に見た妻と話す。妻の感想は①3時間は長い。見てて腰が痛くなった。②特に黒木とCocoの二人がウェディングドレスで踊ったりピアノを弾いてりするシーンが冗長。大事な場面なんだろうけど。③綾野剛は演技が上手い。とのこと。てっきり僕が退屈して眠ってるだろうと思って見たら、起きてて意外だったと。いや、僕も3時間もあるとは知らなかったので、時計を見ながら随分続くな、とは思っていたけれど。前半は黒木華がどこまて落ちていくんだろうとハラハラしつつ、後半はこのお城の所有者が本当は誰なのか何となく勘づきながらも、少しずつ明かされていく真実と、きれいなそしてどこか儚い映像に引き込まれながら、終盤のほうは、これが遺作となったりりィの体当たりの演技に圧倒されつつ、見始めたとき零時前だった時計は3時近くになっていたけれど、眠気など感じていなかった。ここのところ劇場やDVDで見た作品のなかでは最良のものだったんじゃないかなあ…ともう少し余韻に浸りたかったのだけれど、寝ぼけて起きてきた下の子を寝かせつけるため2階に上がった。ちなみにリップヴァンウィンクルとは、19世紀の米国の小説の主人公の名で、浦島太郎のような人物なのだそうです。
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