「つづきは、あした。」
前回投稿が8月22日だから、この10日、映画も本も見てないのかと言われると、そのとおりです。いま、荒川洋治のみすず書房の本を読んでいるので、読み終わったら感想を書きます。
この間読んだ本といっても子どもが寝る前の読み聞かせに借りてきた絵本、児童書しかありません。そんな中から安房直子作、ひがしちから絵「だんまりうさぎときいろいかさ」です。独り暮らしで野菜農家のだんまりうさぎが、友だち以上恋人未満(?)のおしゃべりうさぎに会いに行くため、レインコートを解いて破れ傘を修理する話です。
で、この修理する過程がとても良いのです。ミシンに油を差しては「続きは明日」レインコートを洗っては「続きは明日」徹夜なんてしません。そして「モノサシ片手にうんと考え」ます。追われるように仕事をし、また、悩んだり迷ったりすることの意味を否定されるような日々を送ってる自分から見て、すごく羨ましく思うのです。で、そうやって傘ができあがった頃には梅雨があけてしまうのだけれど、おしゃべりうさぎはそれを日傘だというだんまりうさぎを受け入れ、中に入ってあげる。そんなお話。もうひとつの「だいこんばたけのだんまりうさぎ」もいいお話。気まぐれなおしゃべりうさぎを待たせて、「空っぽになったお皿をお盆にのせ台所に運びました。それから流しで丁寧に洗って布巾で丁寧に拭いて、戸棚にしまいました。」限られた短い絵本の文章のなかに差し込まれる、こんな丁寧な描写が好き。物事がうまくいかず悩んでるときは、日々のことを少し丁寧に時間をかけてやってみるといいものね。
そんな感じで、今の僕にほっとさせられる一冊でした。ところで、作者の安房直子は1993年に亡くなっています。その作品にひがしちからが絵をつけ、今年出版されたもの。眠たげなだんまりうさぎも、快活そうなおしゃべりうさぎも、どちらも素敵な表情です。
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2017.09.03 13:04