ムーンライト
ムーンライトという映画を見る。アカデミー賞の確か作品賞を獲り、新聞にも紹介記事が載っていた。見終わって二晩たって思うのは、黒人でも同性愛者でもない私は、どこか安全なところにいる感覚でこの映画を見ていた。何か痛みを感じたかといえばそんなことはなかった。ただ、第1部にのみ出てくるフアンという売人が魅力的だった。子どもを大きく包み込みつつ、短い言葉で生きることについて語る。二人の息子の父としてわが身を省みる。第1部終盤、苦悩しつつ少年シャロンに真実を伝える姿も胸を打つ。青年、壮年になったシャロンをフアンは、ときにため息をつき、ときに静かに頷きながら眺めているのだろう。この作品にこめられた思いをしっかりと感じとれるときがくればいいし、きっとくるだろうと思っているのです。
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